今月のあなたの街の材木屋さん

第75回:株式会社東野材木店(大阪市住吉区苅田)

皆さんこんにちは! U作と申します。初めての登場になります。今回、桔平さんに代わり筆を取ることになりました。記者としては、まだまだ駆出しですが、よろしくお願いします。
「あなたの街の材木屋さん」の企画は、一般消費者の方に材木屋さんの存在を知っていただくことにあるらしいのですが、私は生まれてこの方、いまだ材木屋さんに材木を買いに行ったことはなく、おそらく今後もないと思います。思うに、材木屋さんというのは、一般消費者との接点が薄いです。NHK大河ドラマ「龍馬伝」の中で、若き日の岩崎彌太郎が材木がなかなか売れず苦しんでいましたが、材木を売るだけでなく「修理までする」ことで材木が見事に売れる、というシーンがありましたが、そこに材木屋さんが活路を見出すヒントの一つがあるように思います。

と、話が横道にそれてしまいそうになりました。今回の取材先は大阪市の南部、住吉区です。大和川が隣の堺市との境界になっております。実は、U作は住吉区で生まれ育ちました。U作が子供の頃は畑や田んぼ、それに池、小川もありと、遊び場所には困りませんでした。そして、今回訪れた(株)東野材木店さんも遊び場所の範囲でした。今では昔ながらの田畑はほぼ姿を消し、池も埋め立てられマンションが建ちとすっかり様変わりしてしまっています。少しさびしい気もしますが、時代の流れですね。誰も止めることはできません。
さて、地下鉄あびこ駅南出口から東へ7分ぐらい歩くと、材木が立て掛けてある倉庫が見えてきました。事務所は驚くほどにきれいで、オフィスといった感じです。そうです。ここが(株)東野材木店です。
会社全景
↑ 会社全景
事務所
↑ 事務所

(株)東野材木店の東野社長は、昭和26年生まれ。大学を卒業後某大手化学メーカーの系列会社に勤務。社会に出るやいなや、関東で生活することになりました。しばらく後に結婚され、長男(現専務の壮也さん)が誕生後、「材木」を商売としたいとの思いが高まり、昭和52年に3年間勤務したメーカーに退職願を提出。大阪に戻り、住之江区平林で材木業の修行をすることになりました。東野社長は修業期間わずか半年で同年11月に「東野材木店」を創業しました。弱冠26歳という若さです。
お店を立ち上げたものの、経営が軌道に乗るまでにはそれなりの時間を要しました。というのも、「材木屋さんは古くから旦那商売といわれる“待ち”の商売」だったからです。かつては、わざわざ営業に行かなくても、お客さんである「大工さんや工務店さん」が買いに来てくれる。そういう商売の形態だったのです。当然のごとく、東野材木店さんも「待ち」の商売で始められたわけですが、固定客がいない状態での、まったくゼロからのスタートだったので、来る日も来る日も開店休業だったといいます。
しかし、しばらくする内に、地元の大工さんなどが買いに来てくれるようになりました。真心の商売で信頼をコツコツと積み重ねられたのでしょうね。「メシが食えるようになるまでは3年掛かったなぁ。」と東野社長。奥さまと小さな子どもを抱えて、かなりご苦労されたのではと、U作、拝察いたします。

社員一同
↑ 社員一同

専務さんは昭和51年生まれの34歳。肩幅も広く、立派な体格です。高校生の頃からアメフトをされていて、学卒後も実業団で4年ほどプレーしていたそうです。その後、松下(現パナソニック)電工に転職。1年間の修行を経て東野材木店で勤務されることになりました。
専務さんは、東野材木店の一大改革を成し遂げています。同社に先進的な受発注管理システムを導入されたのです。システム導入により、仕入や売上などの販売管理を的確に行い、売れ筋商品を把握し、一歩進めた営業ができるお店へと変貌を遂げました。また、社員相互の情報の共有を進め、「担当者でないと分からない」ということを極力なくしているそうです。U作も「見習わないと…」と感じました。

液晶モニターによる管理
↑ 液晶モニターによる管理

倉庫の中に全面杉材のこぎれいな部屋があります。U作が「なんだろうか…?」という顔をしていると、「打合せの部屋ですよ。」と専務さん。この部屋は「杉の間」といって、お客様への提案活動を従来にも増して積極的に行うために設けられたそうです。中には、建材関係のカタログやサンプルが整然と並んであります。U作は発見しました!小さな冷蔵庫もあります。非常に感じの良い部屋で、お客様の来店率も大幅にアップしているそうです。
「杉の間」の中でキョロキョロしていると、専務さんが「エコアクション21ってご存知ですか?」とU作に質問されました。そうです。(株)東野材木店では、なんと「エコアクション21」というものに全社で取り組んでいます。しかし、U作には、何のことやら分かりませんでしたが、この「エコアクション21」というのは、環境省が持続可能な社会のために策定したガイドラインのことです。そのガイドラインに沿った取り組みをしているかきちんと毎年、更新審査があり、認証を受け続ける事で年々継続的に会社を改善できるなど、企業経営と環境負荷に対しての様々な問題改善に役立てるというものです。
この取り組みにより社員の方にもエコへの自覚が生まれ、ゴミ分別区分から、トラックの燃料使用量や電気・水道等光熱費の削減にも役立っているとのこと。

整理された倉庫
↑ 整理された倉庫

「クレーム対応を大事に」が東野社長のモットーです。「クレームが発生したら、その対応に一番力を注がなくてはと考えます。責任をもって対処するように、社員にも徹底させています。誠心誠意、信用が何より大切ですから。」と続けられます。社員さんも、テキパキとしています。誠実さは、全員ブルーを基調としたシャツのスタイルで統一されていることからもうかがえます。
さらに、「お得意先とは、一緒になってやっていくという気持ちを大事にしたい。」と東野社長。また、同社は、「住宅瑕疵担保責任保険」「住宅版エコポイント」の取次店もされています。東野社長は、新しいことへの取り組みも早いですね。同社で取り扱う商品については、「すべてに魂を込めて販売させていただく。」とのこと。東野社長の経営理念には敬服です。



東野社長の趣味はゴルフで、専務さんの趣味は釣りだそうです。釣果は、朝や夕方などの時間帯ではなく、干満のタイミングで大きく変わるそうです。また、釣竿を垂れているときに、ふとした「ひらめき」や「発想」があるそうです。事務所で何時間もウンウン唸って考えるよりも、そうした時の方が知恵も湧いてきそうですね。
東野社長、長時間にわたり、いろいろなお話をうかがわせていただき、勉強になりました。ありがとうございました。

株式会社東野材木店

〒558-0011
大阪市住吉区苅田8-7-20
TEL 06-6696-7551
FAX 06-6696-7538
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