今月のあなたの街の材木屋さん

第72回:角野産業株式会社(堺市堺区出島海岸通)

皆さんこんにちは! あなたの街の材木屋さん、担当の桔平です。
今回の取材先は堺市です。2006年に政令指定都市に移行したことは皆さんもよくご存知かと思いますが、堺市は仁徳天皇陵をはじめ歴史に名を残す建造物が市内各地に点在し、また中世では東洋のベニスとも呼ばれていたほど商業都市として発達するなど今日まで日本経済をリードしてきた都市の一つであるといっても過言ではありません。

さて、阪神高速のすぐそばに位置する臨海工業地帯を眺めながら車で走ると、程なく今回の取材先である角野産業さんに到着しました。 到着するやいなや、社長さんが笑顔で迎えて下さいました。

時計、時を刻んで100年
↑ 時計、時を刻んで100年
早速、角野産業さんのルーツからお話しを始めます。対応して下さったのは社長の角野弘さんです。
会社の創業は明治42年に遡ります。何と角野産業さんは昨年創業100年を迎えた老舗企業。現社長の祖父にあたる角野角次さんにより泉北郡浜寺町(現:堺市西区浜寺公園町)にて創業されました。当時は個人商店の角野材木店という商号で木材の小売りを行なっていたそうです。
その後、あるきっかけから小売りから木材の小割物やベニヤ板を取り扱う問屋へと業態をシフトされました。様々な老舗木材業者と同様に角野産業さんも昭和17年、大東亜戦争下の木材統制法により一旦廃業を余儀なくされます。
昭和21年の戦争終結により、木材業の営業は許可制により再開できることとなり、昭和23年、現社長の父上の角野宗次さんにより角野材木店として堺市中之町にて、従業員2名で再出発することとなります。事業再開後、戦前からの堅実経営の実績が業界から認められ順調に発展していくこととなります。事業規模の拡大に従い、個人から株式会社角野商店へと改組(代表者 角野宗次さん)し、昭和41年には本社を現在地へと移転しました。その後、昭和46年には現社名の角野産業株式会社へと社名変更し、木材のみならず、新建材、銘木と建築資材を扱う商社としてほぼ現在の事業形態の礎を築いていきます。

店舗外観
↑ 店舗外観

角野社長は「親父は日本一の中小企業の経営者だと思っている。よく尊敬する人物について聞かれると歴史上の人物を答える人が多いが、私は親父を尊敬しています。」ときっぱり言われました。角野産業が今日あるのは、先代の努力の賜物であり、様々な苦労を間近で見てこられ、その経営手腕には頭が下がる思いがあるのでしょう。

整然と並べられた住宅部材
↑ 整然と並べられた住宅部材

その後、時代は昭和から平成に移り、木造住宅の建築様式も時代の流れとともに手作業から機械加工(プレカット)へと変化を遂げていきます。角野社長が専務の時、先代に「これからはプレカットの時代がやってくる。会社の新事業としてプレカットをやってみたい。」と進言。当初は強く反対されていたものの、粘り強く説得。その熱意が伝わり、平成7年にプレカット事業部を創設し、木材加工業に進出していきます。
「プレカット事業を始めた当時は、機械選択を誤り、故障が頻繁に起こり工場から夜中に電話がかかってくるなどトラブルの連続。プレカットを始めたことを後悔したこともありましたよ。」と角野社長。その後様々な苦難を乗り越えて年々加工能力も向上、お得意先のニーズに即応できる体制が確立されていきます。

角野社長
↑ 角野社長

現社長の紹介が遅れました。平成9年に3代目社長として就任されたのが、現社長の角野弘さんです。「従業員が気持ちよく仕事のできるような雰囲気づくりをすることが社長の仕事の一つです。」と角野社長。社員に対してもユーモアと笑顔を交えて接するなど、桔平にも社内の雰囲気の良さが伝わってきました。
さて、社長さんの個人的な話題に移ります。この取材中にも笑顔とユーモアの絶えない角野社長は、昭和31年に堺市浜寺でご誕生。その後、地元の小・中学校から上宮高校を経て、昭和55年に明治大学を卒業後、奈良の大和銘木市売鰍ノ入社。木材の入出荷、雑木・スギの天井板の販売に携わるなど2年間の修行の後、家業に戻られました。
趣味は、業界関係者とのゴルフと週に2回ほどフィットネスクラブに通って体を鍛えることなどで、またカラオケが大好きな気さくなお人柄です。

雰囲気の良さそうな社内の様子
↑ 雰囲気の良さそうな社内の様子

「今後について当社は営業、特に新規開拓に力を注いでいきたい。自社で加工をしていることが強みなので、それを生かして価格ではなく、それ以外のサービスや付加価値で勝負していきたい。」さらに「住宅産業に携わるものの一人として、値段の安いものではなく信用のおけるものを販売していくつもりである。消費者の皆さんにも当社のそうした営業姿勢を知っていただきたい。」と角野社長の経営者としての考え方の一端を垣間見ることができた今回の取材でした。

角野社長、本当に長時間ありがとうございました。

角野産業株式会社

〒590-0833
堺市堺区出島海岸通4-5-29
TEL 072-247-0011
FAX 072-247-0016

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