今月のあなたの街の材木屋さん

第35回:上西木材店(八尾市跡部)

こんにちは!三平です。

今回の訪問先は八尾市の上西木材店さんです。大阪木材仲買協同組合の第27支部は東大阪市・八尾市・松原市・柏原市といった大阪の東南部一体を網羅する一番大きな支部の一つ、昔で言えば「河内(かわち)」そのものです。JR大和路線(かつての関西本線)久宝寺駅から徒歩数分で上西木材店さんに行き着きます。この界隈も都市化が進み久宝寺駅の改築工事とともに新しいビルがいくつも建設中です。上西木材店さんは府道八尾亀井線沿いにあり、敷地は約300坪です。

上西社長
↑ 上西社長
応対して下さったのは代表者の上西紀博さん。早速、上西木材店さんの生い立ちからインタビューを始めました。
上西紀博さんは昭和15年12月1日生まれ、奈良県宇陀郡御杖村桃俣の産。地元の中学校を卒業後昭和30年に木材商の老舗吉寅さんに就職、木材の修業に励まれました。昭和39年まで勤めて八尾市内で独立、現在の跡部に移ったのは昭和43年ごろだったそうです。結婚は昭和40年、現在大阪木材青年経営者協議会で活躍中の長男上西博一さんが生まれたのは昭和45年3月14日、大阪万博の前日に当たり名前の「博」はその万博に因んだそうです。

上西木材店
↑ 上西木材店

「約束を守ることが一番大事」が上西さんの信条でもあり経営哲学です。『何事にも通じる。自分の発言に責任を持つことや。商売の基本である手形も約束手形、時間一つ守れない人間は信用できない。遅刻することは相手の貴重な人生の時間を無断で奪っているに等しい』―三平も同感です、が簡単そうで難しいことです。また、「材木屋の息子さんも大勢預かったが一人もやめたもんがおらん」と上西さん。厳しさの中にも人情味溢れる上西さんのお人柄でしょうね。一番苦労したのは独立間もない昭和42年ごろ、多額の不渡りを食らったそうです。「この事件がバネになった」と上西社長。その時はいつでも処分できるもの「=土地」を持っていたのでなんとか凌げた。常に先の危険を予知しながらいつでも処分できるものを確保している。今もそれは守っている、と話してくださいました。

八尾市立竜華中学前の新築住宅外観
↑ 八尾市立竜華中学前の
新築住宅外観
上西木材店さんは大工・工務店さんに一般建築材、建材等を販売する材木屋さんです。が、昭和52年から建設業に進出、不動産業も併営しています。年間に7〜8棟の「本物の木をふんだんに使った家」を建てているそうです。土地付き分譲住宅が主流ですが、インタビュー終了後に近所の竣工した物件と建築中の物件に案内して頂きました。写真を添付しましたのでご覧になってください。随所に上西さんの木に対する「こだわり」が具現化されています。大阪木材仲買協同組合のビッグイベント「自慢の木のおうち」コンテストにも自社作品をエントリーしているそうです。

床も木ばかりです
↑ 床も木ばかりです
「内地材―主にスギ・ヒノキを使った住宅が一番健康や。絶対に外材より内地材が良い。どういう木をどのように使っているか、皆さんに知ってもらいたい」と常に思っていたが「その方法が分らない。理屈より行動や」と思い立って自分自身で家を建てはじめたそうです。また木材業界に対しても「本当に材木屋のことを考え、材木屋の将来に対して尽力できる人がリーダーシップをとって引っ張って欲しい。内地材をしっかり使ってしっかり売りたい。私の会社でも実践できるのだから、やる気があれば必ず出来る。業界ももっともっと木材のことを真剣に考えないとあかん。このままやったら業界は駄目になる」と上西さんは檄を飛ばす。

畳と壁の部分に注目
↑ 畳と壁の部分に注目
一般の方も大歓迎です。端材を「自由にお持ち帰りください」と掲示して店の前に出しておいたら一夜でなくなった。たとえ端材でも利用価値があるんや、と再認識したそうです。工場内には木材加工機が数台あります。上西社長さんが実際に動かそうとしてくださいましたが、動きません。「君が来たからや」と矛先がこちらに向けられました(笑い)。若い人がすぐに調整、事なきを得ました。

柱は面取りしてあります
↑ 柱は面取りしてあります
若い頃、木材青年学級というのがあって現在大阪木材相互市場社長として大活躍の花尻忠夫さんと一緒に夜間に一生懸命勉強したそうです。先生は河田楢男さん(河田銘木会長)と故中川藤一さんだと伺いました。その縁もあって、ご子息の博一さんも花尻木材店で修業されたそうです。

トイレ
↑ トイレ
上西木材店さんが建設した住宅を案内していただき、木にこだわった箇所の説明を受けました。磨丸太の使用部位には驚きました。本来は書院造りの床の間にあるべきもの、という既成概念が崩れてしまいました。また、昨今主流の大壁工法という壁を全面に張ってしまう工法では柱が隠れてしまいます。が上西さんは敢えて柱を見せているのです。最近の木造住宅には柱がありません、いやあるのですが見えないのです。「柱の傷はおととしの5月5日のせいくらべ・・・」の歌が実践できない木造住宅ばかり建っています。大黒柱の存在しない家が主流になってしまいました。上西さんの「こだわり」にエールを送ります。

上西さんの趣味はゴルフとカラオケ。ゴルフは年70回以上プレーするそうです。驚いたのは過去10年間のスコアカードを全部保存していること。三平も見せて頂きましたが、ゴルフ愛好家であった三平がかつてプレーしたコースもたくさんありました。毎年7月に一日で45ホール回るクラブコンペに出場するそうです。夜明けから日暮れまで、それも酷暑の7月に2ラウンド半とは恐れ入りました。

カラオケは北島三郎の大ファン、彼の大阪公演には必ず行くそうです。好きな曲は「橋」・「山」そして「函館の人」。函館は奥さんの出身地だそうです。馴れ初めは独立直後に納材した枚方の新築住宅の施主の娘さんだったそうです。施主さんに気に入られたのでしょうね、縁談はやはり「縁」ですね。
 
上西社長、長時間ありがとうございました。昼食には八尾で一番美味しいという釜揚げうどん「一忠」に案内いただき、3玉半のうどんをご馳走になりました。重ねてお礼申し上げます。

上西木材店

〒581-0068
八尾市跡部北の町1-2-14

TEL 072-992-0125
FAX 072-992-1407