今月のあなたの街の材木屋さん

第29回 :株式会社九州木材商会(大阪市浪速区)

こんにちは!三平です。

今回の訪問先は大阪市浪速区幸町3丁目の(株)九州木材商会さん、応対してくださったのは社長の谷正一さんです。

株式会社九州木材商会 本社
↑ 株式会社九州木材商会 本社
九州木材の社名からどうしても九州出身だと思っていたのですがそうではないのです。谷正一さんで谷家21代目の当主、今会社が立地している幸町で代々続く歴史ある浪速商人なのです。もともとの商売は炭屋さんで屋号は谷保商店(たにやす)と言いました。明治になってから炭と兼業で木材を扱いはじめ、炭と同様に松の5分板類を主に九州方面から仕入れていたそうです。そこから現在の屋号「九州木材商会」と名付けられました。

谷社長
↑ 谷社長
幸町は道頓堀川の南、千日前通りの北に位置し、四ツ橋筋(旧西横堀川)から新浪速筋を超えて木津川まで東西約1キロの細長い地域を指します。かつては水運を利用して木材を運んだため、ほんの30年くらい前まで一帯には材木屋さんが多く、昭和40年ごろの大阪木材仲買協同組合の名簿によると60数件の材木屋さんが軒を並べていました。川と材木屋さんは切っても切れない縁があったのです。今では、数件に減ってしまいました。「淋しいかぎりです」と谷社長。

北側倉庫。NCルーターや合板加工機が設置されています。
↑ 北側倉庫。NCルーターや合板加工機が設置されています。
谷正一社長は昭和22年生まれ。昭和41年に学校卒業後すぐに家業に就き、材木屋の若手経営者グループ大阪木材青年経営者協議会でも活躍されました。「昔から一つのことに特化せずなんでもやった。今は住宅に関するあらゆるものを扱っている」と極めて前向きな谷社長さんです。大工・工務店さんへの木材供給からゼネコンまで販路は広く、学校教材も扱い本立てからベニヤ板一枚まで販売、舞台用の木材まで手を拡げたそうです。その谷社長が今一番力を入れているのが「NCルーター」を駆使した加工です。

NCルーター
↑ NCルーター
「NCルーター」とは聞きなれない言葉ですが、正確には「CNCルーター」と言って「コンピューターによる数値制御」加工機のことです。加工精度は1/100ミリ、R(曲線・曲面)がいとも簡単に加工できる機械です。木材はもちろん、アルミ・アクリルなどの加工もOK。一昨年開催した愛知万博「ポルトガル館」の入口壁面の大きなディスプレー(素材はアルポリック=プラスチックとアルミのサンドイッチ構造)は九州木材商会の作品です。

愛知博ポルトガル館の壁面(九州木材商会が加工しました)
↑ 愛知博ポルトガル館の壁面(九州木材商会が加工しました)
実際にNCルーターでの加工作業を見せて頂きましたが、人の手ではほとんど不可能な曲面や穴開け加工が瞬時に出来上がるのには驚きました。正方形や長方形の板は一般的な製材加工機で対応できますが、曲面は無理です。今はやりのトールペイント用の注文も多く、板に穴を開けたり、角に曲面を施して葉っぱ状にしたりデザインは自由自在。コンピューターにインプットすればいろんなデザインの加工ができるのです。一般の人からの注文も受けます、小ロットでもOKですとのこと。「現場で作る特注家具類は大工・職人でも1つは出来ても3つは出来ない。そういった時には当社が対応しています」と谷社長は「NCルーター」の威力を強調、多品種少量生産には最適ですとPR。

こんなR加工ができます
↑ こんなR加工ができます
「NCルーター」を駆使する谷社長は「システム家具」にまで参入した。家具製造過程で、ユーロッパでは主流の「システム32」の大切さを実感したという。この言葉も初めて聞いた言葉です。「システム32」とは金物を取り付ける時のビス穴ピッチのことです。「ヨーロッパの金物は進んでいる。当社の家具はそのシステム32を導入している」と谷社長。ビス穴は32ミリ間隔が国際標準、一種の「グローバル・スタンダード」だという。  
  キッチンや家具の扉を交換するとき、ビス穴の間隔が違っていれば取替えが出来ない、互換性がないからです。確かに、キッチンをリフォームしたいとき、扉だけを気に入ったデザインのものに変えて台所空間のイメージチェンジを図りたいと思っても、ビス穴ピッチが違えば取替えは不可能、本体ごとの取替えになってしまう。「日本の住宅関連メーカーは国内市場、それも新築しか見ていない。このままでは日本企業が得意とする輸出産業には決してなれません」と手厳しい。「ホームセンターで扉だけを購入して自分でキッチンや洗面化粧台の扉交換が出来たらいいのになあ」と感じるのは三平だけではないと思うのですが・・・。

NC加工の作品
↑ NC加工の作品
谷社長のモットーは「広く浅くなんでも知りたい。なんでも提供したい」。趣味はヨット。26フィートのヨットを友人数人と共同所有し北港ヨットハーバーに係留している。舟遊びは古来より日本人が得意としたものですよ。昔は道頓堀川にもローボートが浮かび牡蠣船もありましたが今は殺風景な単なるどぶ川です。もう少しきれいにしてオランダみたいな名所になったらいいのに。きっと大阪の観光名所になりますよ。―以上はアウトドアが大好きな谷正一氏の夢だそうです。

最後は谷社長から一般消費者に向けてのメッセージです。『日曜大工のお手伝いとしてNCルーターや加工機を開放したい。切る・削る・穴開けが簡単に出来ますよ。近所に陶芸教室がありますが私は「木工教室」を開きたいと思っています』。

谷社長さん、長時間ありがとうございました。

株式会社九州木材商会

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大阪市浪速区幸町3-5-22

TEL 06-6568-1261
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