今月のあなたの街の材木屋さん

第28回 :中ア木材株式会社(伊丹市鴻池)

こんにちは!三平です。


中ア木材株式会社本社
↑ 中ア木材株式会社本社
今回は兵庫県伊丹市にやってきました。伊丹と言えば大阪空港のイメージしかない三平ですが、お酒と鴻池家、野鳥のオアシス昆陽池(こやいけ)、僧行基が建立したとされる昆陽寺そして昆虫館が有名だそうです。これは今回の取材先である中ア木材株式会社の中ア裕弘社長さんからの受け売りです。清酒発祥の地とされる伊丹には「鴻池稲荷祠碑(こうのいけいなりしひ)」があり、1800年ごろ山中鹿之助を始祖とする鴻池家が濁り酒から清酒造りに成功したと記されています。そのほか園芸業も隣接する宝塚市山本地区と並んで日本三大樹林生産地の一つとされています。ところで伊丹市に隣接する市は一体いくつあるかご存知ですか?正解は尼崎市、西宮市、川西市と大阪府の豊中市、池田市の計5市です。まるで長野県みたいですね。

執務中の中ア社長
↑ 執務中の中ア社長
中ア木材さんは昭和12年に創業しました。親戚の方が鍛冶屋さんと材木屋さん(主に足場丸太)を営んでおり、そこで修業をした現社長の父上がお祖母様と一緒に二人で独立、中ア木材を設立しました。その後父上は太平洋戦争に2回出兵(のち復員)、その間はお祖母様が一人で会社の切り盛りをされていたそうです。現在の伊丹は住宅地と商業地が混在したベッドタウンですが、その当時の伊丹周辺は山と畑ばかりだったそうです。中ア木材の主な得意先は近所の造園屋さん。さきほども記しましたが、造園業が盛んな土地柄を反映してか足場丸太が飛ぶように売れたそうです。造園業も大量の木材を使います。公園に行けば目にする添え木はほとんど松丸太です。苗木から育てて販売できるようになるまでの風雪に耐えるには添え木が必要です。強くて細くて安価な木材を必要とするのです。足場丸太と名前が付いていてもいろんな用途があるのですね。足場丸太で商売の基盤を築いた同社はその後一般建築材を扱う屋形屋さんへと変貌してゆきました。

加工場内
↑ 加工場内
中ア裕弘社長は昭和26年6月16日伊丹市生まれ。近畿大学卒業後豊中市の老舗仲買さん(株)紙庄(現社長は紙野徹氏)で4年間、木材業の勉強に励まれました。しかし中アさんが家業に戻った10ヵ月後の昭和54年2月13日に父上が死去され、急遽代表取締役に就任したそうです、27歳の時です。中ア社長は現在55歳ですからすでに30年近い社長経験をお持ちなのです。

加工品
↑ 加工品
中アさんは社長就任当初から「紙庄で学んだことをやり通すしかない」との信念で実践され、今日の繁栄を築かれました。それは大工・工務店さんへの販売に特化することです。商圏は伊丹・宝塚・川西・西宮周辺とのこと。「工務店とともに伸びてゆく材木屋でありたい」と話す中ア社長は「毎年2月に弊社倉庫で餅つき大会を開いている程度だが将来は工務店さんらと組んで一般消費者向けの木工教室を開きたい」という夢をお持ちです。同社に隣接する倉庫内には大工さん向けのプレーナーや帯鋸が設置されています。が、時代が移り、プレカット全盛時代の昨今、大工さんらの使用頻度は減少している、と同社長は嘆く。プレカットが木材流通ばかりか大工・工務店さんの仕事を奪っていった現実がここにもありました。

倉庫内の木材
↑ 倉庫内の木材
「一般消費者向けの販売もします。新築・リフォームは信頼できる工務店を紹介し、店舗等の改装はこれも懇意にしている専門業者に依頼しています」と中ア社長。とにかく一度お立ち寄りください。

ご子息の智久君
↑ ご子息の智久君
趣味はゴルフと旅行ですと話す中ア社長は、大阪木材仲買協同組合第34支部支部長で常務理事を務め、ご子息の中ア智久君も家業に就かれて現在大阪木材青年経営者協議会で活躍中です。

大工さんが加工中
↑ 大工さんが加工中
温厚で誠実な中ア社長、長時間有難うございました。プレカットばかりでは日本に大工・工務店さんがいなくなってしまいます。どうか日本の伝統技術が消えないようにご尽力ください。

中ア木材株式会社

〒664-0006
兵庫県伊丹市鴻池字向林1

TEL 072-781-1626
FAX 072-781-4935


会社の詳しい情報はこちら