今月のあなたの街の材木屋さん

第19回 :株式会社 中喜(摂津市鳥飼)

こんにちは三平です。

今回お邪魔したのは大阪府摂津市鳥飼銘木団地の樺喜さんです。取材には創業者の吉本冨士夫会長(昭和7年生まれ)が応じて下さいました。


南船場の起爆地となったあの有名なレッドビル。この10坪の土地で中喜さんは誕生しました。
↑ 南船場の起爆地となった
あの有名なレッドビル。
この10坪の土地で中喜さんは誕生しました。




私が幼い頃(昭和30年代)、学校で大阪は「東洋のマンチェスター」「水の都」だと習いました。むかし大坂は八百八橋と呼ばれ、江戸の八百八丁と並び称されていました。それほどたくさんの橋が架かっていましたし川が流れていました。大阪の船場とは御堂さんの屋根が見え、東西の横堀川と南の長堀川、北は土佐堀川に四方を囲まれた地域の通称だと聞いています。 その西横堀川にそった横堀7丁目(塩町通)で中喜商店は誕生しました。昭和32年1月、10坪の社屋からスタートしたそうです。中喜さん所有のこの10坪の土地が、南船場再開発の仕掛け人スキンヘッドで有名なあの浜崎健立現代美術館「REDビル」なのです。

吉本会長
↑ 吉本会長


吉本会長は大阪西区西本町(信濃橋周辺)が本籍地、明治小学校5年のときに広島県尾道に学童疎開したそうです。終戦後日下部さんと吉村商店で銘木の修業を積んだあと独立しました。その当時の横堀界隈は銘木屋さんの街でした。日本の経済発展とともに交通事情や高速道路建設のあおりを受けて昭和41年、摂津市鳥飼地区への集団移転が始まりました。横堀周辺は南船場4丁目と町名も変わり、今では若者たちの街に様変わりしています。

本社前にて吉本社長
↑ 本社前にて吉本社長


屋号の「中喜」の由来は、明治はじめの太政官布告により苗字が許され、その時の当主名が「中村屋喜右衛門」であったことから命名しましたと吉本会長さん。また吉本家のご先祖は中国地方に一大勢力を張った戦国大名尼子氏の重臣山中鹿之助の家来衆の一人であったと伝えられています。
 法人改組は昭和49年、平成15年1月に社長をご子息の登志貴さんに譲り、同時に社名も樺喜に変更しました。銘木団地でも有数の品揃えと熱心な営業姿勢は業界内でも有名です。「いがんだことが大嫌い。まともな商売に徹するあまり、家内から頑固やとよく言われます」と吉本会長は微笑む。  
 銘木の製造・販売。販売ルートをきっちり守り、ステップ・バイ・ステップの前進が吉本会長の信条だと伺いました。



吉本登志貴社長に案内して頂いた団地内の10ヶ所の倉庫には、ありとあらゆる銘木類がぎっしりと詰まっていました。日本の伝統文化を継承する和室向けの銘木、とりわけ欅類の豊富さにはびっくりしました。
 同社の豪華で美しいカタログには床の間・書院・欄間・天井板・床・鴨居・敷居・茶室・門扉等の写真とともに取扱商品群が掲載されています。樹種も欅を筆頭に花梨・黒檀・楓・桧・紫檀・ブビンガ・肥松・杉・榁・香節(こぶし)・百日紅などなど、まるで銘木の百貨店です。一般の方は大歓迎です。彫刻材として最適な欅の端材(東急ハンズでは結構な値がする)もたくさんありますよと吉本会長。

中喜の本社
↑ 中喜の本社
倉庫内の欅
↑ 倉庫内の欅


和室の退潮とともに厳しい局面を向かえている銘木業界について吉本会長は次のように話してくださいました。『資源が枯渇しているといった宣伝は間違っている。将来なくなりまっせ、なんて危機感をあおっているようだが逆宣伝や。ユーザー(施主・設計士・工務店)は無い素材は使えない。銘木はいくらでもあります。ええもんやし値段も安い―そんな宣伝をやるべきや。銘木に限らず木材はダイコンより安い。皆さんに銘木団地に足を運んでもらい、銘木になじんで欲しい。銘木は必ず復活すると信じています。車も最初は小型車を購入し、大型車・高級車へと嗜好が変わるように、家も所得や年齢とともにいいもんを求めていくと思う。今は辛抱の時や』。

欅の盤
↑ 欅の盤

天井板
↑ 天井板

吉本会長の趣味はゴルフ(オフィシャルハンデは13、実力は18ぐらいと謙遜)と囲碁(4段)。

吉本登志貴社長は昭和34年生まれ。同志社大学を卒業後東京の上久銘木店で3年間の修業を経て家業に就きました。その頃の上久さんには西川幸雄先輩(西雄木材)や後輩の中出尚さん(泉源銘木)らが修業中でした、と話してくださいました。大阪銘木協同組合や大阪銘木青年会で活躍中の吉本社長は銘木離れを食い止めるため、若手中心に日夜努力されています。熱狂的な阪神ファンでもあります。
 
 吉本会長・登志貴社長、いろいろありがとうございました。



株式会社中喜

〒566-0063
摂津市鳥飼銘木町7-29

TEL 072-654-5647
FAX 
072-654-4942

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