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第93回:株式会社上北昇商店(尼崎市杭瀬本町1-25-11)(2012.3.6更新)

こんにちは!あなたの街の材木屋さんの桔平です。
 今回は、大阪の川を挟んですぐ西隣の兵庫県尼崎市にやってきました。
 私自身も尼崎生まれで、現在も在住ですが、何か気取っていない庶民的で住みやすい街という印象を持っており、京阪神都市圏住民からは親しみを込めて日常的に「尼(あま)」と略して呼ばれています。
兵庫県とはいっても大阪市内とさほど雰囲気は変わりありません。尼崎市は、皆さんもご存知のとおり、関西圏屈指の工業地帯として知られ、主に市南部に工業地域、中南部には商業地域、そして市中部から北部にかけて住宅地が広がっています。電車では、20分以内に大阪市や神戸市の都心へ到達することが出来るなどアクセスも良い立地です。
元々、尼崎市は、旧尼崎藩領や旧旗本領の元農村地域を中心に構成された工業都市であることから、尼崎独自の都市圏を構成するために、大阪のベッドタウンとしての要素は薄く、拠点性があるという特徴があります。人口密度は兵庫県内で最も高く、日本国内においても20位以内に入ります。また、南部の海岸部は阪神工業地帯の中心部でもありますが、埋立地の部分が多く、海抜ゼロメートル以下の地域が少なくなりません。
それと余談ですが、尼崎市の市外局番は兵庫県でありながら「06」であることがよく知られていると思います。明治初期、旧尼崎藩士族や地主の出資による近代紡績工場設立の際、資金難からやむを得ずに商業地大阪の資本参加を受け入れ、繊維取引の場所である大阪船場との電話通信費節約の目的で大阪市内から直接電話回線を引いたため、以来、市外局番は「06」となっているそうです。
大阪市内から国道2号線を車で走ると、30分足らずで尼崎市内に入り、ほどなくして、今回の取材先の㈱上北昇商店さんの看板が見えてきました。
 それでは、早速、会社の歴史から順にお話しを進めていくことにします。当日は会長の上北昇さんにお話を伺いました。

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               社屋外観
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                  事務所外観

 
 創業者である上北昇さん(現会長)は、奈良県吉野の山林経営者の御子息として生まれ、地元の高校卒業後、一旦奈良県庁に就職したものの、戦後、大阪一帯が焼け野原となった姿から、次々と木造の住宅や建築物が建てられる様を目の当たりにして、「これからは木材の時代、木材に携わる仕事をやりたい。」と決意し、現所在地で商売を始めました。上北会長、若干23歳の頃です。
当時の日本は戦後で、木材統制法が施行された中、全国の木材業者は木材を製品として販売することは困難であったので、創業時の商売は、実家のある奈良県吉野の山から、製材で残った木材(杉、桧、松など)を尼崎まで運んできて、それを燃料として販売する営業形態でした。(当時の社名は個人の上北商店)
 当時は、現在のように、ガスが普及しておらず、家庭で使用する燃料も薪がほとんであったようで、近隣からお店に買いに来るお客さんが多く、良く売れたそうです。
 創業時から、燃料としての木材販売を4〜5年ほど行った後、昭和30年代前半から地域の建築業者への建築材の納材が主な事業となっていき、いわゆる仲買業者へと業態がシフトしていきます。この頃は、地元尼崎を中心とした大手企業(住友金属、日立、古川工業、積水科学など)の仕事を建築業者と提携して請負うなど木材販売は好調な時代でした。企業の社宅の建築や営繕関係、工場内の機材や荷造り材としての納材など、扱う仕事のボリュームも大きく、昭和39年には、現社名の株式会社上北昇商店へと法人に改組しました。
 昭和40年代以降は、尼崎市内の学校、公民館、保健所など官公庁の建築や営繕の仕事を行い、安定はしていたものの、建築関係の売上は徐々に伸び悩んできました。そこで、業態のシフトを余儀なくされ、建築材だけでなく梱包材や建具、家具の材料まで業務の幅を広げることとなりました。
 時代は平成に入ると、平成15年1月、上北会長は経営の第一線から退かれ、御子息である上北将人さんが代表に就任され、現在に至っています。

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              市長(当時)からの表彰
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               上北昇会長

 
 続いて、上北昇会長個人についてご紹介致します。上北昇さんは、昭和3年奈良県吉野生まれの現在84歳です。代々の山林経営者の家庭に生まれ、地元の高校を卒業後、奈良県庁に就職されます。奈良県庁に勤務しながら、一旦、大阪工業大学で勉学に励むなどの勤労学生も経験された後、尼崎市で事業を始められました。上北会長の趣味についてお聞きすると、「ゴルフ30年、詩吟40年、家庭菜園40年、山林経営40年。」との答えが返ってきました。84歳という年齢を感じさせないほど、活発で多趣味な印象の方です。また、12年間地元の公園の掃除をされ、そのボランティア活動に対して当時の市長から表彰されたり、社会福祉協会の仕事に尽力されたことに対して感謝状を受けるなど、木材業に力を注ぎながらも地域社会での活動にも積極的に参加されるなど、その功績に対する賞状からも上北さんのお人柄が伺えました。

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      倉庫内部の様子

木材業界もかつてのように、旺盛な住宅建築の需要からの恩恵がなくなりつつある昨今、上北会長は現在の木材業界のあり方について警鐘を鳴らしておられます。「木材業界は今までように建築需要に依存するという考えを抜本的に改めなければならない時代に来ているのではないか。そんな状態が続いていれば、業界全体で衰退の一途に向かうだろう。高齢化社会の進展に伴い、将来にわたり住宅着工戸数も減少するだろう。そんな時代の変化に伴い、木材業界も新たな需要の創造が必要である、例えば、人間が絶対に必要とする消費に伴うもの、人間が食べる食料や家畜で利用する飼料など食用での利用や、衣類など、業界全体で新たな需要の開発に向けて真剣に考えていくべき過渡期が来ていると思う。」と今後の木材業界のあり方について考えを述べる上北会長。

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       事務所内の様子

最後にお店のPRです。尼崎市にて創業55年の㈱上北昇商店です。建築・土木・梱包・建具用の木材販売及び住宅機器、新建材の施工販売を行なっています。また、当店は、各種木材合板カット加工を行っており、お客様の必要な長さ、大きさに寸法切り致します。例えば、節があっても差支えない物干しや床修理、屋根等まで用途をお伝え下されば大小に拘らずご相談に応じます。木材、合板のことなら1枚、1本〜1000本それ以上でもご用意します。大きな材、数の多いものも大手業者と提携していますので、安心してご相談下さい。
パナソニック電工、永大産業等、大手住宅機器メーカーの建材。木材・合板・建材機器など何でもそろうをうたい文句に日々勉強を重ねています。

上北会長、長時間の取材にご協力いただき、誠に有難うございました。
 (2012.3.6更新)

株式会社上北昇商店
〒660-0814
尼崎市杭瀬本町1-25-11
TEL 06-6488-5630
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