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第89回:株式会社山本材木店(豊中市利倉1丁目)(2011.11.2更新)

こんにちは!あなたの街の材木屋さんの桔平です。

今回は、大阪府の中央部の北側、神崎川を隔てて大阪市の北に位置する豊中市での取材です。取材先は豊中市の中でも兵庫県の伊丹市に隣接する場所で、大阪国際空港もすぐそばにあることから、飛行機の往来が激しいのですが、私自身、伊丹市で育ったことで特別なこととは思いません。地方出身の方は驚かれるようですが、私が小学生の頃、全校朝礼をグランドでやっていたとき飛行機の往来の音がしたのを聞いて、北海道出身の新任の先生が耳を塞いで、座り込んでいたという記憶があります。慣れていない人にはかなり衝撃的であるようです。

またまた、話が横道にそれてしまいました。

今回の取材先は豊中市利倉(とくら)の株式会社山本材木店さんです。それでは、早速、会社の歴史から順にお話しを進めていくことにします。応対して下さったのは、代表者の山本裕樹さんです。

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          店舗外観     倉庫内部に並ぶアユース材

 山本材木店さんは現社長の祖父・山本嘉治郎さんにより、大正14年淀川区十三で創業されました。当時から大工・工務店へ建築材料を販売するいわゆる屋形屋さんといった営業形態ではなく、材木店に対してナラやタモなどの高級広葉樹を販売する二次問屋的な材木屋さんでした。昭和11年には淀川区野中に移転され、その頃からラワン材(※1)の取り扱いを始められました。その後、戦時中は木材統制により一時休業を余儀なくされますが、戦後昭和26年、本格的に南洋材の原木の取り扱いを開始、ラワン材の別挽き(既製品ではなく、お客さんの注文に応じて製材すること)業者へと特化することとなりました。その翌年には、代表者に現社長の父、山本慶一さんが就任されます。

(※1)ラワン材
ラワン(lauan) は東南アジアなどに分布する樹種。高さ40m、胸高で直径が2m程度に成長する広葉樹高木であるフタバガキ科の木材を加工したもの。ラワン合板はこの広葉樹材を張り合わせた合板。表面がざらざらしており木目はハッキリしないのが特徴。一般にベニヤ板はラワン合板をさす。本来のラワン材は乱伐によって減少したため、現在は南洋系の広葉樹材を使用する合板をラワン合板と称している。

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       出荷される商品

昭和30年代半ばからは、建売や文化住宅の建築が活発となり、建築業界も活況を呈し、南洋材を扱う業者も隆盛を極めます。そんな最中の昭和36年に法人化し、現社名となります。「私が子どもの頃は店にも何人か従業員がいましたが、それでも人手が足りないほど忙しく、当時小学生の私も兄と一緒に木材を担いでいたと記憶しています。」と当時を振り返る山本社長。ところが、そのラワン材の需要もやがて徐々に減少していくこととなります。昭和50年代以降、ヒラタキクイ虫による虫害が表面化したことから、学校などの官庁工事の指定から除外されます。さらに、昭和60年代以降、ラワン材の大量伐採による資源枯渇、環境問題の表面化から伐採の禁止・原木輸出が禁止され、価格高騰と品質低下によるラワン材離れが加速していきます。そのため、取り扱う材料を昭和60年代中期以降はラワン材からFJLと呼ばれる積層材へと転換していきました。

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       FJL(積層材)

平成5年からは取引先の紹介により、アフリカ材のアユースという樹種の原木製材を開始し、現在の山本材木店さんの主力商品となりました。「アユースは西アフリカ産の樹種で白くて柔らかく、軽く、おとなしい性質の木なので木工材料として優れています。加工がし易いので、住宅用の廻り縁や鏡の装飾、ルアーやバードカービングなどの材料に最適なんです。」とこの樹種の特徴や良さを説明する山本社長。また、平成21年には同友会を通じて知り合った業者の方により自社のホームページを開設することとなります。「開設当時は、ホームページを開設することに対して同業の方々はあまり良い反応ではありませんでしたが、これをきっかけに九州や山梨県など日本中から問い合わせがあり、仕事の幅が広がりました。」と新しいことにも前向きに取り組む姿勢を感じます。

 

ここで、続いて、山本社長個人のプロフィールに移ります。

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         山本裕樹社長

現社長の山本裕樹さんは、昭和33年、淀川区生まれの現在53歳です。淀川区の小中学校を卒業後、府立東淀川高校を経て、京都の龍谷大学に進まれました。大学を卒業後、ゼネコンでの営業を2年程経験された後、家業に戻られました。学生時代は弓道部で活躍され、近畿大会まで勝ち進んだほどの腕前だったそうです。現在は、業界の仲間での草野球、そしてプラモデル作り(戦闘機の製作)が楽しみであるようです。

 

「木材は自然素材のものだからクレームはつきものです。しかし、それに対してお客さんに納得のいく説明ができれば、お客さんは決して離れていかないものだと思います。」と山本社長は過去のお客さんで同社から離れていった方に対して営業をされたそうです。

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   出荷を待つアユース材

当初は、叱責されるなど厳しい経験もありましたが、山本社長の誠実な対応ぶりにそのお客さんたちと再び取引を開始することに成功したようです。そのような体験から営業やクレーム対応がいかに大切であるかを力説されました。平成15年に淀川区から現所在地の豊中市に移転する際にも大変な苦労があったようですが、現在はアユース専門の別挽き業者として特化し、業界内でも「アユースといえば山本材木店」といわれるまで認められる存在となりました。
 これからについて、他社にはない、自社の強みや特徴をアピールしていきたい。また、今後は、「木に対しての私のこだわりや想いに共感出来る人に事業を承継することが課題です。」と後継者の育成も視野に入れておられます。

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        事務所内の様子

 最後にお店のPRです。株式会社山本材木店は、アフリカ材のアユースという白くて柔らかく、おとなしい性質の木と、 シルクウッドという適度な硬さで製材しても反りにくい集成材(FJL:フィンガージョイントラミネートボード)を専門に取り扱っている材木屋です。 おとなしい性質の木にこだわり、無駄なく木を使ってあげる事が人と自然とのバランスの取れた社会作りの一助になると考えております。一般の方も歓迎致します。詳しくはホームページをご覧いただき、お近くにお立ち寄りの際はおこし下さい。
社長さん長時間の取材、誠に有難うございました。

株式会社山本材木店
〒561-0845
豊中市利倉1-17-17
TEL 06-6868-1120
FAX 06-6868-2464
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